住職のつぶやき

 3月10日(日)の秋田さきがけ新聞朝刊に、葬儀業者が妙教寺セレモ―二ーホール「蓮桜殿」の折り込みを入れた。愈々妙教寺にとっても新しい時代の幕開け、長い冬が終わり春の到来を告げる時が来た。


 現安倍内閣総理大臣はデフレ脱却に向け、大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢(柱)とした政策を掲げた。所謂安倍+エコノミクス(経済)から来る「アベノミクス」である。
 お釈迦様は3千年のその昔、晩年8ケ年の間に説かれた真実の教え、『妙法蓮華経』方便品の中で、弟子の舎利弗に対し “我本立誓願 欲令一切衆 如我等無異 如我昔所願 今者己満足 化一切衆生 皆令入佛道 ”(我もと誓願を立てて、一切の衆をして我が如く等しくして異なること無からしめんと欲しき。我が昔の所願の如き、今はすでに満足しぬ、一切衆生を化して皆佛道に入らしむ。) 全ての衆生に対し身も心も自分と同じようにしたい。そして一切の衆生が仏の道を歩む道を今開放したと慈愛に充ち溢れた言葉を発せられた。


 更に薬草喩品では、“未度者令度 未解者令解 未安者令安 未涅槃者令得涅槃” 「未だ度せざる者をば度せしめ、未だ解せざる者をば解せしめ、未だ安ぜざる者をば安ぜしめ、未だ涅槃せざる者をば涅槃を得せしむ。」つまり苦から苦へと、もがき苦しむ衆生を救いだし、其の苦の原因でもある我欲・我執から解脱させ、苦を滅する真理の道を歩ませ、遂に苦が消滅した境地へ至らしめようと四(し)弘(ぐ)誓願(せいがん)をされた。
 そして久遠の命(如来の寿命は無量で常住不滅の身)を示した如来寿量品では、毎自作是念 以何令衆生 得入無上道 速成就佛身(毎に自らこの念を作す、何を以てか衆生をして無上道に入り、速かに佛身を成就することを得せしめん。) 五欲に溺れ地獄・餓鬼・畜生道の三悪道に堕ちる衆生にも速やかに仏道修行を成就させ、仏の身を得て欲しいと自らの思いを語られた。
 また宗祖日蓮大聖人は自分こそが法華経の行者、末法の世に法華経を流布せよとの釈尊より付属を受けた本化上行菩薩の応現であることへの自覚と、自分がやらなかったら誰れが一体この任務をやるのか、という強い使命感と責任感から著書(御遺文)『開目鈔』において、我日本の柱とならむ、我日本の眼目とならむ、我日本の大船とならむ、等と誓いし願、やぶるべがらず。三大誓願を立てられたのだろうと愚考する。因みに日蓮大聖人の三大誓願を現代社会に置き換えるなら、私は日本の柱となってこの国を支えるぞ、私は日本の目となってこの国を見守るぞ、私は日本の大船となって国民を救い導くぞとでもなろうか。・・・・


 人の苦しみや悲しみを理解し汲み取れる心、その苦しみを取り除いてあげようとする抜苦与楽の慈悲の精神こそ現代人が行わねばならぬ菩薩行と思う。そこで私は三本の混合柱を立て行動を起こした。阿部のミックス()である。
一、下種(げしゅ)結縁(けちえん)(妙教寺ホール蓮桜殿をご利用される方に、湯潅の儀の前に日蓮宗の正儀に則り法華経の法味を捧げ、後生善処を祈り聞法の功徳により来世に法華経との大縁を結ばせよう。)
二、大衆救済(独居老人や施設入居者そして低所得者層、更にはアパート・団地住まいの方々の手助けをしてあげよう。また地域の方々にもお寺を開放し間口を広げ敷居の低い大船としよう。)
三、負担軽減(我が街は既に高齢化37%を過ぎ疲弊し景気低迷の一途を辿っているのが現状。「蓮桜殿」利用者の浄財により、数少ない檀家の方々に山門護持の負担軽減の措置を取れるようにしよう。) 
以上が阿部のミックスの概要である。


 干支の始まりの甲子。一番最近の甲子は昭和59年であった。前半最後の30年目の癸(みずのと)の本年。一時代締めくくりの年、そして前世代の残像・体質を一掃し、現代の体質へ生まれ変わる移行の真っ白な純白なキャンパスの年である。政治も経済も教育もスポーツ界も宗教界も例外ではない。次の甲子の年2043年まであと30年ある。そこまで生かされていれば私も80歳を過ぎている。フットワークの軽い50歳の今の自分。今を見つめ、先を見据え白いキャンパスに大胆に描いてみた。諸天善神と先代日龍上人の加護を乞うべく、朝暮に妙経読誦に余念なく精進する感謝至極の充実した日々を送らさせていただいている昨今です。合掌。

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